学会について

ご挨拶

コミュニケーションの起源は、おそらく生命誕生と同時かと思います。我々生物は、1個体では存続し続けるのが難しい。周囲とのコミュニケーション無しには生きていけない存在です。人間以外の生物は、コミュニケーションに悩んでいる様子は見られません、仮にそれが相手によって自分の命が奪われるものであったとしても(まあそれは私の理解力が足りないだけのことかもしれませんが)。

人間がディスコミュニケーションによって悩み、場合によっては健康を害するに至るようになったのは、認知革命が起こってからではないでしょうか。認知革命によって人間は「言葉を使った思考」を手に入れ、それが今日人類の繁栄をもたらした、ということでしょうが、反面、様々な行き違い、トラブルを招くことになってしまい、それが古来多くのドラマを生んできたように思います。すなわち、コミュニケーションはすんなり思い通りに進むものではないのが普通であり、そのトラブルを縮小し、相手も自分も満足し幸せになる方法は何か、ということを探るのが人生ではないでしょうか。

ファーマシューティカルコミュニケーションは、薬や医療に関係するコミュニケーション活動を通じて、関係者の安全と幸せが確保され、効果的な薬物治療が遂行される、あるいは健康増進が図れることを目的にしています。コミュニケーションに唯一無二の正解はありません。より良いコミュニケーションにむけて、努力し続ける私たちの活動に、皆様のご参加をお願いしたいと思っております。

2017年4月1日 兵庫県赤十字血液センター長 平井 みどり

設立趣旨

     

ファーマシューティカルコミュニケーション研究会(略称:P-Co(ピコ)研)、現、日本ファーマシューティカルコミュニケーション学会は、平成15(2003)年2月22日に設立されました。その一年前に薬学会から出された薬学教育モデル・コアカリキュラムの中に薬学教育の重要な視点として「コミュニケーション」が取り上げられ、翌年には薬学部教育6年制が開始するという、薬学教育が医療人養成へと大きく舵をきり始めた時代でした。

本研究会発足の直接のきっかけは、平成14年3月の日本薬学会年会のポスター会場で発表場所が近かった有田と井手口直子の偶然の出会いにあります。二人は薬学教育が医療人教育へと正式にシフトするよりずっと前から、患者主体の医療を実現していくためには薬剤師のコミュニケーション力が重要である、との信念を持ち、それぞれの場で試行錯誤を重ねていました。二人の出会いは必然だったのでしょう、すぐに意気投合し、これまで薬学教育の中でコミュニケーションの重要性を感じながら孤軍奮闘されている先生方にも声掛けをし、情報交換や新たな提言をしていく場を作ろう!ということになりました。立ち上げの同志として小川芳子、後藤恵子、吉田賢士(50音順・敬称略)に声をかけ、早速、研究会設立の話し合いがもたれました。

その頃、病棟の薬剤師さんから聞いていた「患者さんを目の前にして、武器を持たずに戦場に出されている気持ちだ・・・」という現状を、「患者さんから、薬剤師に話を聴いてもらえてよかったと言われた!」という社会に変えていきたい。それが私たちの共通する強い想いでした。そのためには、薬学教育も 従来の“物質”中心から“人間”中心に変化し、系統だったコミュニケーション教育カリキュラムを提言していく必要がある、そして、研究会というからにはエビデンスとなる研究成果も積み上げていく必要がある等、と熱い想いを語り合いました。その結果、決まったのが下記のような会の名称と目的です。

名称:ファーマシューテイカルコミュニケーション研究会 (Pharmaceutical Communication Association 略称:P-Co)
目的:薬剤師のコミュニケーション能力向上を図り、患者主体の医療を推進するために次のことを行う。
  • (1)ファーマシューテイカルコミュニケーションの浸透と定着に関する諸活動
  • (2)薬学教育におけるコミュニケーション教育プログラムの構築及び体系化
  • (3)薬剤師業務に寄与するコミュニケーションの教育実践及び研究活動

そして、平成14(2002)年9月に全国薬科大学学長・学部長宛てに呼びかけを行い、同年10月1日北里大学にて「ファーマシュ−テイカルコミュニケーション研究会第1回設立準備委員会」を開催しました。海のものとも山のものともわからない会の主旨にご賛同いただき、ご参加いただいた先生方のお名前は、これまで表に出ることもありませんでしたので、心からの感謝とともに記しておきたいと思います。

第1回設立準備委員会出席者(順不同・敬称略、所属は当時):
谷 覚(城西大学)、前田 利男(静岡県立大学)、入江 徹美(熊本大学)、高中 紘一郎(新潟薬科大学)、水本 清久(北里大学)、亀井 美和子(日本大学)、中里 弘(日本大学)、松山 賢治(武庫川女子大学)、安生 紗枝子(東邦大学)、砂金 信義(東京理科大学)、鈴木 勉(星薬科大学)、山元 俊憲(昭和大学)、戸部 敞(昭和大学)
世話人(五十音順・敬称略、所属は当時):
有田 悦子(北里大学)、井手口 直子(東邦大学)、小川 芳子(共立薬科大学)、後藤 恵子(共立薬科大学)、吉田 賢士(神戸薬科大学)

年が明けて平成15(2003)年2月22日、昭和大学上條講堂で設立記念シンポジウム「ファーマシューティカル コミュニケーションの構築」が開催されました。ついに会としてスタートを切った瞬間の感激とこれからへの意気込みは今でも忘れられません。

それから、20年近い歳月が流れ、薬剤師および薬学教育が大きな変動を遂げている中、本会はなにがしかの使命を果たすことが出来たでしょうか。本研究会が掲げてきた目標は今も完全に達成できているとは言えません。右も左もわからなかった私たちを、これまで支え導いてくださった諸先生方の薬学教育に対する熱い想いを思うとき、改めてこの目標を形にしていく使命と責任を感じています。

平成25(2013)年に薬学モデル・コアカリキュラムが改訂され、薬剤師として求められる基本的な資質として“コミュニケーション能力”が明記されました。本会も目標に向かって、新たな一歩を踏み出す時期です。

ホームページリニューアルに伴う回顧録として 平成30年7月30日 常任理事・北里大学薬学部 有田悦子

活動概要

1. 薬剤師向け教育プログラムや教材の作成

ACST(Advanced Communication Skill up Training)、ファシリテーター養成など、薬剤師や大学教員のための体験型学習プログラムを構築しています。薬剤師に求められる業務内容の変化に合わせて、コミュニケーショスキルを高める様々教材も作成しています。

2.模擬患者養成

2005年よりSP養成ワークショップ(WS)を開催。 SP研修入門講座に当たるWS-A、標準模擬患者を養成するWS-B、より複雑なシナリオを演じる模擬患者を養成するWS-C、SP参加型演習のファシリテーターを養成するWS-Dまでの4コースを2007年に完成しました。これらは、2008〜2009年、薬学教育協議会との共催事業として12回に及び開催され、参加延べ人数は400名を超えました。

3. 学術大会や各種セミナーの開催

年1回の学術大会は、毎年、大会長の思いが凝縮された大変充実した会となっています。大会では、特別講演やパネルディスカッションの他に、ファーマシュ−ティカルコミュニケーションに関わる様々な研究に触れる機会となっています。また、当学会で開発した各種研修プログラムを会員・非会員問わず、年数回開催しています。

4. 学会誌発行

4月と10月の年2回、機関紙日本ファーマシューティカルコミュニケーション学会会誌(Journal of Pharmaceutical Communication)を発刊しています。ファーマシューティカルコミュニケーションに関連する論文の投稿を募っています。ホームページからどなたでも自由にご覧になることができます。

  • 活動の様子
  • 活動の様子

役員一覧

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役職 氏名 所属
会長 平井みどり 兵庫県赤十字血液センター 所長
理事 有田 悦子 北里大学薬学部 教授
理事 井手口直子 帝京平成大学薬学部 教授
理事 入江 徹美 熊本大学大学院生命科学研究部 特任教授
理事 木内 祐二 昭和大学医学部 教授
理事 高橋 瑞穂 東邦大学薬学部 講師
理事 竹平理恵子 北里大学薬学部 講師
理事 寺町ひとみ 岐阜薬科大学 名誉教授
理事 富澤  崇 北里大学 客員准教授
理事 沼田千賀子 神戸薬科大学 教授
理事 半谷眞七子 名城大学薬学部 准教授
理事 毎熊 隆誉 就実大学薬学部 准教授
理事 村岡 千種 藤田医科大学保健衛生学部 講師
理事 湯本 哲郎 湘南医療大学薬学部 教授
監事 亀井美和子 帝京平成大学薬学部 教授

会則

本会の会則について、こちらからご覧ください。 本会への入会を希望される方は、ご一読の上、入会手続きを行ってください。

会則(PDF)